「保守主義の父」エドマンド・バーク

またもアイルランド・シリーズ!今度は、18世紀の政治思想家、哲学者であり、「保守主義の父」とも呼ばれるエドマンド・バーク。その主著「フランス革命の省察」は、まさに「保守主義のバイブル」として、長く読み継がれている名著です。
「フランス革命」というと、「自由・平等・博愛」ということで、民衆が立ち上がり、国王の圧政から脱するというポジティブなイメージが一般的ですが、エドマンド・バークに言わせると、まさに「トンデモナイ」ということで、強烈な批判を繰り広げています。

そのメッセージは、「物事を急激に変えようとすると取り返しのつかない副作用を生む」ということで、行きすぎた民主主義の行き着く先は、皮肉にも全体主義や軍事独裁であると喝破したところに最大の価値があります。
実際、民衆を代表するはずのフランス革命政府は、なんと独裁政治を敷き、国内は大混乱。結局、ナポレオンによる軍事独裁を招いてしまうのですが、エドマンド・バークのすごいのは、これらの成り行きを、フランス革命直後にすべて予測できたところにあります。

近年の我が国においても、「改革」と叫べば民衆がついてくるといった基本的な構造がありますが、それが、行き過ぎた民主主義と結びつくと、恐ろしい帰結を招きかねないということ。今、毎日感じるなんとも言えない「嫌な感じ」と「不透明感」の根っこには、そういう恐ろしいリスクが潜んでいるのではないでしょうか?
このPHPの新訳は、本書のエッセンスをとりあげた「超訳」に近い内容とも言えますが、エドマンド・バークの先見性とその洞察力をハンディに噛みしめるのに最適と思えます。現代の日本、そして世界の政治動向をじっくり見据えるためにも、ぜひご一読をおすすめします!

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