『1917 命をかけた伝令』見ました。

1917 命をかけた伝令』見ました。アカデミー書の有力候補のようですが、自分としては、ちっとも良くないばかりか、不愉快にすらなった映画です。

全編を覆うのは、サム・メンデス監督の承認欲求だけです。要するに、賞をもらって世の中に認めてもらいたい。できれば歴史に名を刻みたい。それだけです。

アカデミーを狙って、発表時期や段取りを綿密に計算するのは当然のこと。題材はやはり戦争ものが良いだろう。主演は、自分が霞むような大物は避けないと、撮影の話題として「全編ワンカット」でもやってみるか。まあそういった感じです。

<以下、ネタバレ注意>
とにかく、ストーリーの底が浅いです。メンデス監督の親戚から聞いた話というのが胡散臭い。動機は「兄を救いたい」だけ、相棒の死はちっとも迫ってこない、追われる、滝に落ちる、乳飲み子を抱える女に助けられる、兵隊が歌を歌って皆聞きほれる、兄の悲しみもぜんぜん伝わらない。なんなんでしょう、この薄っぺらいプロットは。

そもそも「全編ワンカット」というのは間違っています。「ワンカットのように見せているだけ」です。当たり前です。なので、カットをいかにバレないように繋ぐかがミソなので、逆に、そこが気になってしょうがありませんでした。「ワンカット」のように見せることにいったいどういう意味があるんでしょう?「臨場感?」戦争ものの臨場感なら、「プライベート・ライアン」の方がはるかに上です。

思えばサム・メンデス監督ほど上昇志向の強い監督もいないように思われます。デビュー作「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞を取っちゃったから勘違いしちゃったんですよね(思えばあれも意味不明な映画でした)。でも、その後の代表作は「007」ですからね。なんとしても名声を再度獲得しないと。

こんな薄っぺらな戦争映画を絶賛する人の気がしれないです。

オスカー作品賞はできれば『アイリッシュマン』。本命は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ってことで、なんとか見識を示してほしものです。

コメントを残す