スティーヴ・ウィルソンによるプログレ界「リミックス/リマスター独占化計画」。ついにイエスの「危機」にまで及んでしまいました。
歴史的名盤の「危機」。今まで、CD、SACD、リマスター等々の多種多様なメディアで販売されており、大ファンのわたくしとしては、それらの殆どを入手して来ました。中でも2003年、Rhinoから出されたリマスター盤こそ、まさに「究極の決定盤」ということで、ながらく愛聴して来たんです。
しかし今回、CDとブルーレイの2枚組で、「オリジナル・マスター・テープからのリミックス」と聞いたら、また購入せずにはいられません。
しかも、ありとあらゆるフォーマットで「危機」が収められています。すなわち:
CD:2013年ステレオ・リミックス、「アメリカ」のロング・バージョンと「危機」のラフ・ミックス
ブルーレイ:上記に加えて、5.1サラウンド、オリジナル・ステレオ・ミックス、シングル・バージョン、カラオケ・バージョン、英国版ヴィニール・バージョン(以上を24bit/96kHzのハイレゾ方式にて)
それで結果はというと???? 文字どおり「???????」であります・・・・。
キング・クリムゾンを初めとするスティーヴ・ウィルソンのプログレ・リマスターものは、ほとんどすべて聞いてきましたが、今回の「危機」もこれまでと同様、「で、何が変わったの???」という感じです。
リミックスと言うからには、もっと大胆にやって欲しい。まして、5.1サラウンドならば、もっと音をグリグリ動かすとか、サラウンドならではのダイナミックさを聞かせて欲しい、ということにつきます。スティーヴは、きっと「オリジナル・マスターを変に色付けしない」という最近のリマスターの王道を意識しすぎるあまり、ほとんど手が付けられなかったんじゃないかと思います。だったら、どうしてこういうプロジェクトに手を出すの???
さらに、肝心のステレオ・ミックスは、今はやりの「フラット・トランスファー」ということで、マスターの音をほぼそのままデジタル・トランスファーしてCD化しており、これでは、本来の「リマスター」の妙味が味わえません。
尚、今回初めて収録されたのが「危機」のラフミックスとカラオケ・バージョンで、コアなファンには必携と言えるでしょう。
ということで、今回特にRhinoリマスターを凌駕する要素は見当たらず、わたくしとしては、今後もRhino盤を愛聴し続けていくことにしたいと想います。
以上、やや辛口の批評になりましたが、スティーヴ・ウィルソンによる「危機」リミックス盤を聞いてみようという方は、こちらからどうぞ。⇒Amazon
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