我らがジェネシスの1974年の問題作『眩惑のブロードウェイ(The Lamb Lies Down on Broadway)』が、アニメーションによって、なんと全編ビジュアル化されたとか!?
早速、見てみないと:
なるほど、これは素晴らしいじゃありませんか!
なんでも、ニューヨークに拠点を置くアーティストのナサニエル・バーラム(Nathaniel Barlam)という方の作品だそう。なぜ彼が、今「ラム」なのか?その動機はわかりませんけれど、目のつけどころは大変素晴らしい。
同アルバムは、ピーター・ガブリエルの在籍したジェネシスの最後のアルバムであり、色々な意味で「物議をかもした」というか「賛否両論」というか、とにかく「難解な大問題作」だったわけです。
その、難解な問題作が、このアニメーションでとてもわかりやすくなったような気がします。
これは、ニューヨークに住むプエルトリコ人の少年「RAEL」を主人公にした一大絵巻で、彼が自己の内面を深く見つめながら精神的旅行に出るという極めて観念的なストーリーでした。不思議な生物やいろいろな怪獣(?)、妖怪、魔女などに出会うという意味ではまさにSF的。そこに、なぜかウエスト・サイド物語や天路歴程、エル・トポといった作品の要素や、ユングからアレハンドロ・ホドロフスキーの思想まで絡んだりするので、はっきり言ってもう「わけがわからない!」。とにかく、これぞ壮大な「コンセプト・アルバム」だったのです。
ピーター・ガブリエルは、このストーリーと歌詞を全部一人で作り上げ、主人公に憑依したかのように演じ切って、歌ったのでした。
この時、アルバム全曲を演奏する大ツアーも実施し、ステージには怪獣から妖怪からビジュアルまでものすごかったらしいのですが、なぜか動画がひとつも残っておりません。こればかりはいくら探してもない!わずかに残ったブートもどきのライブCDと写真で、当時を想像するしかないのです。
こんな感じ?
こんな様子でもあったそうな:
「エクソシスト」で有名なウィリアム・フリードキン監督が、ピーター主演で「ラム」の映画化を持ち掛け、ピーターも大いにその気になったのですが、なぜか実現せず。その前後の騒動もあって、ピーターがジェネシスを脱退することになってしまったのでした。
まあ、はっきり言ってピーター以外のジェネシスのメンバーは、これじゃピーターのバックバンドに成り下がってしまうようで嫌だったんだろうなー。それでも、彼らの演奏も、またものすごかったんですけどね。
ということで、「自他共に許すピーター・ガブリエル期限定のジェネシス・ファン(?)」を自認する久我としましては、この大問題作にして大傑作な「ラム」が、こんな形でまた世の中に出て行くことに大いなる喜びを感じているのです。
そういえば、発売当時あまりにも感激した久我少年は、確か全編を日本語に訳したような気がするんですけど、もう一度挑戦してみようかな。
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