ヴォルテールのカンディードを読みました

いや、これはとにかく、とてつもなく面白い!

18世紀フランスの啓蒙思想家ヴォルテールの代表作ということで、かなり構えて読んだのですけれど、全く心配無用。

まっすぐな心の持ち主「カンディード」が、男爵の愛娘「クネゴンデ嬢」と恋仲になれたと思ったら、突然お城を追い出され、以降、次から次に悲惨な目にあい続けるという。なにしろ、騙される、盗られる、痛めつけられる。よくもここまでひどい目にあうもんです。

それでも、底抜けに素直なカンディードは、希望を失わず、あきれるほど前向きに生きて行くのですが、やがて、いくらなんでも「無理」な状態にまで落ち込んで・・・。

この、どうにも「取りつく島のないお話し」が、ビンビンのスピード感と、底知れないユーモア感で突進して行くので、「古典的」な堅苦しさなど感じるヒマがありません。

しかし、これは「神の創造した世界では、すべてのことは最善の目的のために配置されている」という、ライプニッツを源流とする当時の神学上の教えに真っ向から異を唱えるもので、大いに物議を醸した問題作なのであります。

ヴォルテールは、当時の王政の顰蹙を買い、一度ならず投獄された大問題児だったわけですが、中世において、ここまでシニカルでキツイ発信を続けていたのは、よっぽど確信的に世界が読めていたか、とてつもなく愚かであったか、その、どちらかでしかあり得ないでしょう。

ということで、ヴォルテールそのものに深い関心と共感を覚えた筆者は、さらに、『ミクロガメス』、『メムノン』、『ザディーグ』などの作品を、一気に読み進めて行きました。そういう意味では、ヴォルテールの代表作がある程度まとめて読める、岩波文庫の『カンディード』がオススメなのですが、この表題作だけを、最新の訳で楽しみたいという場合は、光文社の古典新訳文庫をおすすめします(➡️光文社の『カンディード』はこちらです)。

さらに、ヴォルテールを掘り下げて行くことにしましょう・・・。

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