今、再読する『米中もし戦わば』

米中の新冷戦が、本気の様相を呈している今、読むべきはこの本しかないでしょう。

ピーター・ナヴァロの『米中もし戦わば – 戦争の地政学』。

ナヴァロは現トランプ政権・国家通商会議( National Trade Council)の委員長。筋金入りの中国脅威論者として、トランプの対中政策に大いに影響を及ぼしている経済学者であります。

『米中もし戦わば』は、ピーター・ナヴァロが2015年に執筆。日本でも翌年発刊され、トランプ政権の発足とともに、その中心に位置する人物の書物として、ベストセラーになりました。

筆者は冒頭で「米中戦争は起きるかという問題をともに考え、答えを見つけてもらいたい」と読者に呼びかけ、「本書が『地政学的推理小説』たる所以」と自負しているとおり、まさに「中国脅威論者」として、中国の経済や政治体制から、軍の内情に至るまで、あるゆる面から「米中戦争」の可能性と、それへの対策を分析しています。

なにしろ、見出しがすごいです:

・中国は何を狙っているのか?
・中国はどれだけの軍事力を持っているのか?
・引き金となるのはどこか?
・交渉の余地はあるのか?
・力による平和への道

ですからねー!

そして、その最終章には「力による平和への道」ということで、「戦わずして勝つ方法」として、「経済力による平和」が提唱されており、現在の「貿易戦争」はまさにその路線なんだということが分かります。

さらに恐るべきはその結論部分で、「攻撃的で不透明な中国相手に実りある交渉を行うのは極めて困難」と断じており、トランプ大統領の得意な「ディール」の成立には悲観的。結局「力による平和」しかないと予想しているところです。

その中で、「同盟国を守り抜く」と明確に提唱しており、日本として、取り敢えず安堵かもしれませんが、そんなお人好しな日本人の発想をはるかに超えて、現実に世界は「恐るべき方向」に向かいつつあることをしっかり認識し、新年を迎えるしかないでしょう。

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