70年代のプログレッシブ・ロックとしてはややマイナーな存在だった「グリーンスレイド」。確かに売れはしなかったけど、とってもユニークな個性に満ちたバンドでした。
彼らの初期アルバムがリマスター再発されたんですけれど、思いのほか優れた内容なのでご紹介します。
グリーンスレイドは1972年、元コロシアムのデイヴ・グリーンスレイドとトニー・リーヴスがデイヴ・ロウソンとアンディ・マカロックを招き結成。ツイン・キーボードでギターなしという珍しい編成でスタートしました。1973年にはファースト・アルバムの「Greenslade」とセカンド「Bedside Manners Are Extra」を発表。75年までにさらに2枚のアルバムを出すのですが、77年にいったん解散してしまいます(2000年再結成)。
ツイン・キーボードを生かしたメロディアスなアンサンブルが特徴で、オルガン、エレピからメロトロンまで多彩な鍵盤楽器が堪能できます。ただ、当時のプログレとちょっと異なるのは、独特な「あっさり感」と言いましょうか、出自をコロシアムに持つややジャズ寄りのテイストと言いましょうか、非常にユニークでした。
ちょっと聞いてみて下さい:
セカンド・アルバムから「Time To Dream」という曲です。
ねっ?なかなか良いでしょう?
特に素晴らしいのがアンディ・マカロックのドラムです。アンディは短期間キング・クリムゾンに在籍し「リザード」に参加したほか、フィールズの結成にも参画。そのドラミングは、とにかくタイトでシャープ。特に、ワン・ショットごとにくり出されるスネアの「ロール」と、抜けの良いサウンドはビル・ブラッフォードを彷彿とさせるほど。久我としては、アンディ・マカロックこそ、プログレ系ドラマーではまさにビル・ブラッフォードに次ぐ地位にあると高く評価しております。
さて、そんなグリーンスレイドのリマスター盤が、RhinoのマスターをベースにEdselレーベルから出ているんですが、これが秀逸です。「2イン1」ということで、各パッケージに2アルバムづつ、2セットでグリーンスレイドの主要4作品がコンパクトに揃うという内容です。Edselは最近この「2イン1」方式で良質なリマスターを連発しており、ドゥービー・ブラザースのリマスターでも素晴らしい仕事ぶりをみせてくれました。
肝心のリマスタリングはAlchemyスタジオのPhil Kinradeというエンジニアの手によるもので、非常に良いです。従来のCDのうすもやのかかったような音像が全部排除され、クリアーでエッジのたった音になってよみがえりました。写真入りのライナーノーツの資料的価値も高いです。
そして忘れちゃいけないのが、ロジャー・ディーンによる素晴らしいジャケット・アート!
ということで、グリーンスレイドのリマスター、お勧めです!
⇒ファースト・アルバム(Greenslade)とセカンド(Bedside Manners Are Extra)のセットはこちら
⇒サード(Spyglass Guest)と4枚目のアルバム(Time and Tide)のセットはこちら
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