「今さら夏目漱石シリーズ」で、『二百十日』と『野分』を読みました。
漱石の大モノはだいたい制覇したので、あとはすき間を埋めるつもりで何も期待せず読んだんですが、これが驚愕のおもしろさ!
どちらも『草枕』と『虞美人草』との間にはさまった初期の中編小説ということで、さっさと読むことができます。
『二百十日』は、友人同士の気楽な旅行が、思いのほか大変な山歩きに変貌して行ってしまうと言うハラハラ・ドキドキの一品。『野分』は、人生に悩む孤独な主人公が理想に燃える師に出会うまでを描いた、漱石のその後長編にも通じる一品。
どちらも、漱石一流の軽妙なストーリー・テリングの中に、明確な文明批評などがちりばめられ、短いのに読み応え充分です。今さら私が言うのもなんですが、さすが漱石!
村上春樹が「漱石のようなプロットに基づく小説の古さ」について語っていたように思いますが、何を言ってるんだ。自分こそ分けの分からん「筋立て」の話でかつての魅力を喪失しとるやないか!
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